片翼の天使たち~fastlove~
「…っつーかさ、話って何?」
急に話を振られて、私は固まる。
言え…
言え……私……っ。
「あ、それねっ!…今日、1時に中庭に来てくれないかな」
「はぁ?今じゃダメなわけ?」
「う、うん…。そうなの。だから、お願い…ね?」
ごめん…遥翔。
騙したりして、ごめん。
だけど私は、スミレを裏切れない。
あなたからも切り捨てられたくない。
人に嫌われることが
怖くて、怖くて…仕方がないの。
唯の言うとおりだった。
私は、逃げてばかりの人間…。
「ふ~ん。あっそ、じゃ後で」
「うん!よろしくね!!」
私は逃げるように生徒会室を出て行った。
最後の方なんて…遥翔の顔ほとんど見てない。
溢れ出しそうな涙を隠すように、したばかり見てた。
出来ないよ。
心の底から応援するなんて、出来ないよ……。
遥翔に触られた髪が熱い。
〝すげー綺麗〟
寝ぼけてた遥翔に言われたセリフが心を揺さぶる。
やっぱり、どうしようもなく好きなんだ、私。
こんな、今にも泣きそうな顔じゃ、仕事なんて出来ない。
Aクラスのみんなには悪いけど、私戻らない。
戻れ…ない。
それに今は、疲れちゃった。
笑顔を作ることにも
涙を押し殺すことにも
心に嘘をつくことにも
…疲れちゃった。