ショコラ~愛することが出来ない女~
「そうよ、そう。上司。
だからあなたと恋愛する訳にはいかないの」
「秘密の恋愛はダメですか」
「そんなの上手に出来ない」
「俺は出来ます」
そう言ったが早いか、彼は私を抱きしめた。
お酒の匂いと彼の体臭が交わって、私の思考を絡め取る。
人のぬくもりが欲しいと貪欲に願ってるその事実が、こうして触れることで表に出てくる。
抵抗できない。
温かくて気持ちいい。
間違いなく私も酔っ払いだ。
「庄司くん」
「好きか嫌いかで言ったらどっちですか?」
「そりゃ……好きだけど」
「じゃあ今寂しいか寂しくないかで言ったらどっちですか?」
「……寂しいけど」
まるで追い詰められてるみたいで怖い。