ショコラ~愛することが出来ない女~


「教えてくださいよ」

「……元旦那」

「やっぱり?」


庄司くんは笑って、体を伸ばした。


「まだ好きなんですか? 元旦那さんの事。
じゃあなんで別れちゃったりしたんですか」

「……それは庄司くんに関係ない」

「関係なくないです。酔った勢いで突っ走らなかった俺にご褒美の一つもくれてもいいでしょう?」


そう言われると、……確かに。

軽く睨むと、ニヤニヤと笑われる。
イヤだな、形勢逆転したい。


「昨日言わなかったっけ。彼は夢があって、それを叶えようとしていて。
でも私はそれを応援出来ないから。だから別れたのよ」

「どうして応援出来なんですか」

「彼が夢にのめり込むからよ。私は、愛されたかったの。
森宮ちゃんも言ってたでしょ。愛するより愛されたいって」


と言うよりは、私は愛することが出来ないんだよな。
隆二くんの幸せだけを願えない。
困らせてでも、私だけを愛して欲しい。

母性本能が足りないのかも。
だからダメだったのかな、結婚は。

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