ショコラ~愛することが出来ない女~


「……わかりました。
だったら忘れてくださいよ。もう過去でしょう? 別れたんだったら」

「……」


過去。

そうか、そうよね。

結婚して離婚したんだから。
何度ヨリを戻そうが、彼にとって私は『過去の女』か。


「忘れられないなら俺が手伝いますよ」

「え?」


いつの間にか鼻がぶつかりそうなほど近くに庄司くんの顔がある。
このままキスでもされそうな勢い。

でも。

もう酔いは覚めるから、簡単に流されるほど私は甘くないわよ。


鼻先を指でツンとつついて押し返す。


「結構。妻帯者に慰めてもらうほど落ちぶれてないわ」

「康子さん!」

「本当の事でしょう。あなたのやってる事は順序がおかしい。
女口説きたいなら、先に過去を清算してきなさい」

「……」


シュン……って効果音がつけれそうなほど、しょんぼりした庄司くん。

実際、私はそこを気にするほどのモラルの持ち主ではないけど。
年上の女としてのプライドもある。

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