ショコラ~愛することが出来ない女~
「ここですよ」
彼が差したのは、駅裏から一本外れた通りにある小さな焼き鳥屋さんだ。
食事と言うよりは飲むのがメインなんだろう。
カウンター席が多く、手前の方にテーブルが数席、奥の方に小上がりの席が3席ほどある。
少し待った後、カウンターの奥の席に通される。
結構歩いたから足が痛い。
座れるならどこでも良いって程の勢いだ。
「康子さんはビールでいいですか?」
「や、今日はウーロン茶にしとくわ」
「なんで? 帰り送って行きますよ」
「一人で帰れるわよ。あなた前科者だもの。酔ったら危ないでしょ」
「信用無いなぁ」
頭をかきながら笑って、「じゃあウーロン茶を二つ」と注文した。
あら。
別に庄司くんまでノンアルコールにしなくてもいいのに。