ショコラ~愛することが出来ない女~


だけどそんな日々が続くのは数ヶ月がせいぜいだ。


「クリスマス用のケーキセットを出そうかと思って」


11月、そう言って彼は毎年、新しいケーキの作成に夢中になる。
私の事がどうでもよくなる季節。

この季節は大嫌い。

隆二くんの眼差しが自分にそそがれていないのを実感してしまうから。

そして私は、それを我慢することが出来ないのだ。


「やっぱ、別れましょう」

「康子さん!」

「隆二くんとは合わない」


思えば何度復縁してもこの季節に終わりを迎える。


私は一番になりたかった。
歳を重ねて、恋愛よりも大切なものがあると感じている今でもそう。


それでも彼の一番で居たかった。

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