ショコラ~愛することが出来ない女~
もちろんいいことばかりではない。
喧嘩することもたまにはあった。
「康子さん、今度の週末山登り行かない?」
「山? 悪いけど興味ないのよ。一人で行ってくれる?」
「一度登ってみれば絶対気にいるよ。低い山からお試しで行こう?」
抱えていた仕事もあってイライラしていた。
週末は調べ物がしたいのだ。
山なんて行っていたら、疲れて他のことが何もできなくなる。
「あなたの趣味を私に押し付けないでよ」
とげのある口調で言ったら、さすがにむっとされる。
「趣味を共有したいって思うのはおかしいことじゃないだろ」
「趣味によるわよ。私にそんな体力使うことができるわけないじゃない」
「……」
しばしの沈黙は、私にとっても辛いものだった。
謝ろうかと思うけど、年上の変なプライドが邪魔をする。