ショコラ~愛することが出来ない女~
やがて、庄司くんの手が私の腰のあたりをつつく。
「……何よ」
「俺、本気でへこむんだけど」
「なんで」
「老後は夫婦で山登りするのが夢だから。今から興味持ってもらわないと、俺の老後かなり寂しい」
「また老後の話?」
思わず噴き出してしまうと、庄司くんもしょぼくれた顔から一転、にやりとした笑いを浮かべてにじり寄ってくる。
「康子さん、笑った」
「もう。負けたわ」
笑いあって、手を伸ばす。
仲直りはキスと抱擁。
時には度を越して、そのままコトに及んでしまうこともある。
この年齢差のせいなのか、庄司くんの方から折れてくれるのが、多分もめても大ごとにならない理由だろう。