ショコラ~愛することが出来ない女~

 そんな風に過ごしているうちに、時は経過し、今は4月。

詩子の誕生日があるので、終業後森宮ちゃんを誘って買い物に来ている。


「でも、22歳のお嬢さんのプレゼント、私にわかりますかね」

「さあ。でも私が選ぶよりは若いもん選ぶでしょ?」


森宮ちゃんのその後も気になっていた。
その後なんかいい出会いとかあったのかしら。

自分ばかりがうまくいっていて、しかもそれを内緒にしている後ろめたさから、早く彼女にも相手が出来てほしいという思いが頭から離れない。


「お嬢さん、どんな感じですか?」

「よく似てるって言われるから、私をそのまま若くしたのをイメージしてくれたらいいわ」

「ほう。着せがいありそうな感じですね」


森宮ちゃんはおしゃれだ。
ずっとファッション誌の担当をしているし、本人も実際それが好きなのだろう。


「康子さんに似てるんなら、大胆な色を選んでも大丈夫そう」


鼻歌を歌いながら、ショップの服を次から次へと見比べていく。
そして、きれいなペールオレンジのスカートを手に取る。

< 129 / 292 >

この作品をシェア

pagetop