ショコラ~愛することが出来ない女~
詩子のプレゼントを包んでもらっている間に、森宮ちゃんがこっそりみていたスカーフを購入する。
薄いパープルで、今日のスーツの差し色にはぴったりだ。
「はい、今日のお礼よ」
「え? やだ。いいですよ」
「いいから。似合うわよ。森宮ちゃん」
無理矢理にそれを押し付け、夕飯へと誘う。
森宮ちゃんは最初は遠慮していたものの、最後はノリノリになってついてきた。
「康子さんも最近イイことあったでしょう」
乾杯の後の第一声に、私はギョッとして目を見張る。
「な、なんで?」
「だって。仕事中もノリノリだし。
最近化粧室に行ってメイク直してるの、結構見かけますもん。
肌艶だっていいしー。これは恋でもしてんのかなって密かに思ってたんですけど」
「ごほっ。そ、そうなの?」
お通しとして出された糸こんにゃくのきんぴらで、むせそうになる。