ショコラ~愛することが出来ない女~
なかなか鋭いな。
この子、やっぱり賢い子なのよね。
すごくまわりに目が行っているというか。
気を落ち着けるためにビールをゴクリと飲み込む。
私の話はいいのよ。
森宮ちゃんの話が聞きたいの。
落ち着いて聞きださなきゃ。
しかし、その思いも森宮ちゃんの次の言葉でかき乱される。
「それに庄司くんも」
「ええっ」
「……何驚いてるんですか、康子さん。庄司くんも絶対恋をしてますよ。
離婚したって話聞いて、落ち込んでるかなって思いきゃ。
まあ毎日機嫌がいいったら。
いつだったか庄司くんが鼻歌歌いながらスーパーで買い物してたっていう目撃情報もあるんです。
案外尽くす男なんだねーって今お株急上昇中ですよ」
「そ。そう」
この世代の連絡網はすごいな。
これは二人でその辺を歩いてたら危ないかも。
「でも私は、庄司くんは康子さん狙いだと思ってたのになー……あれ?」
森宮ちゃんが、上目づかいで私をみる。
目つきが鋭いっての。
挙動不審になっちゃうじゃない。