ショコラ~愛することが出来ない女~
「仕事、どう?」
「うん。まあまあ。
なんか皆あたしのこと清楚なお嬢様みたいに思っててウケルわよ。
ちょっと可愛く『また来てくださいね』っていうと、結構高確率でリピーターになってくれたりねー」
意外と小悪魔的なことを言うわね。
まあ、さめざめと泣きごと言われるよりはいいけれど。
「そう。さすが私の娘」
「ふふ」
返しようがないからそう答えたのだけど、詩子は満足そうに笑った。
「ね、ところで今日は何食べる?」
「そうね。お祝いだから。詩子の好きなとこでいいわよ」
「えー、じゃあ焼き鳥! ビールも飲みたい」
「……おっさんみたいね」
でも、焼き鳥店ならおすすめがある。
庄司くんが連れて行ってくれた店。
「いい店知ってるわ。近くよ。行きましょう」
「やったぁ!」
嬉しそうに笑うその顔に、隆二くんの面影を見る。
おかしいな。
詩子は私に似てるはずなのに、やっぱりどこか隆二くんにつながってる。