ショコラ~愛することが出来ない女~


「仕事、どう?」

「うん。まあまあ。
なんか皆あたしのこと清楚なお嬢様みたいに思っててウケルわよ。
ちょっと可愛く『また来てくださいね』っていうと、結構高確率でリピーターになってくれたりねー」


意外と小悪魔的なことを言うわね。
まあ、さめざめと泣きごと言われるよりはいいけれど。


「そう。さすが私の娘」

「ふふ」


返しようがないからそう答えたのだけど、詩子は満足そうに笑った。


「ね、ところで今日は何食べる?」

「そうね。お祝いだから。詩子の好きなとこでいいわよ」

「えー、じゃあ焼き鳥! ビールも飲みたい」

「……おっさんみたいね」


でも、焼き鳥店ならおすすめがある。
庄司くんが連れて行ってくれた店。


「いい店知ってるわ。近くよ。行きましょう」

「やったぁ!」


嬉しそうに笑うその顔に、隆二くんの面影を見る。

おかしいな。
詩子は私に似てるはずなのに、やっぱりどこか隆二くんにつながってる。

< 138 / 292 >

この作品をシェア

pagetop