ショコラ~愛することが出来ない女~
9 社内恋愛発覚
そうして時は流れる。
桜の季節はあっという間に過ぎ去り、5月が来て6月。
新緑がまぶしく、日差しはもう夏のもの。
思いきり薄着を楽しみたい時期にはなってきたけど、年をとると首元が気になる。
スカーフ一つを味方につけ、夏の日差しには日焼け止めで対抗だ。
そんな中、私の知らないうちに、とある噂が社内を飛び交っていた。
「ねぇ。知ってる?」
「聞いた。えーまさか、だよね。その年の差ってどうなんだろ」
「離婚の原因ってそれだったのかな」
「編集長から? だったらすごいよねぇ」
女の子たちの会話の中に自分を指す言葉を聞いた時、嫌な予感はしたのだけど。
わざわざ自分から会話に入る勇気もない。
しばらくの間、聞かなかったことにしてやり過ごしていた。