ショコラ~愛することが出来ない女~
「不満分子もいるようだ。無記名で投書が挙がっている。
個人の問題……と言いたいところだが、俺としても、あの雑誌には期待しているんでな。
出来ればもめ事は早めにつぶしておきたい。
……悪いがどっちかに抜けてもらおうか」
来たな。
この人は甘いことは言わない。
面倒見もいいし優しいけれど、シビアな面がなきゃここまで上がってこれない。
ならば上役である私が責任を取ればいいはずだ。
「私が役職から降りればいいですか。後任は森宮さんで。彼女なら出来ます」
しかし社長は大きく首を振った。
「ダメだ。まだ任せるまでは安定してない。
悪いが庄司に責任をかぶってもらう」
隣の庄司くんの体が一瞬震えた。
新部署に配属されて半年もたたないうちに異動。
それは彼の経歴で見れば汚点だろう。
「でも悪いことをしている訳じゃありません。
私たち、仕事に支障をきたしているつもりはないですし。
どうしてもどちらか処分するなら、役職的に責任のある私であるべきです」