ショコラ~愛することが出来ない女~
「そんなことは分かってる。
だが、いいか?
企画の発想力という観点でみると、俺の中では桂木の右に出る者はいない。
だからお前はまだ戦略的に必要なんだ。
庄司に任せていたWeb連動の方は、大方道筋が出来ただろう。
だから降ろすなら庄司だ。
この理論に反論があるか?」
「……」
「……ありません」
返す言葉を思いつかない私の脇で庄司くんが答える。
「社長室に呼ばれた後、庄司の異動が発表されるってことは、お前らの関係の原因は庄司にあったと俺が判断したように解釈されるだろう。
お前には悪評がつくかもしれない。そこは覚悟してもらえるか?」
「はい」
「ならいい。庄司は別部署へ異動だ。希望する雑誌はあるか? 空きがあるか聞いてやる。
桂木は何としてでも軌道に乗せるまでそこで踏ん張るんだ。こっちだって簡単な話じゃない」
「社長」
「お前には、その方が堪えるだろう」
ぐうの音も出ないとはこのことだろう。
いざという時は自分が責任をかぶればいいと思っていた。
庄司くんの経歴に泥を塗るようなことになるとは思っていなかった。
その浅はかさに反吐が出そう。