ショコラ~愛することが出来ない女~


 昼休み、森宮ちゃんは待ってましたとばかりに私をランチに誘ってきた。


「社長に何言われたんですか?」

「何って。……んー。社内恋愛がばれた」


他の人に聞こえないように身を縮めてそう教えると、森宮ちゃんの眉が八の字に下がる。


「最近噂になってはいたんですよ。でも、私ばらしてないですよ!
聞かれても誤魔化してたんですから!」

「分かってるわよ、そんなこと。あなたがばらしたんならもっと早くに広まってるでしょ」

「良かったぁ。康子さんに疑われてたらどうしようかと思ったー」


悩むところはそこなんかい。
可愛いなぁ。


「……庄司くんが異動になるわ。森宮ちゃんに頼むことが多くなるかもしれないけどよろしくね?」

「庄司くんが?
ああでも。まあ、Web関連は特別新しいことないですもんね。持続させればいいだけだし」

「でも専門知識がある人がいるのといないのは違うけどね。
本当はキツイわ。庄司くんがいないと。
でも、……自業自得だものね」


溜息とともに吐き出すと、森宮ちゃんはフォークで鶏のから揚げを差したまま持ち上げる。


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