ショコラ~愛することが出来ない女~
甘いケーキが食べたい。
私が甘党だって知ってる人に甘えたい。
自分で作り上げた自分のイメージに、押しつぶされそうになる。
いや、ダメだ。
今は恋人がいる身で、そんなのダメだ。
甘えるなら恋人にするべきだ……けど、甘えることで恋人を傷つける場合はどうしたらいい。
何も言わなくたって、彼は責任を感じているはずだ。
そして私は彼を異動にまで追い込んでしまった。
今庄司くんに、泣きごとなんて言えない。
頭の中で堂々巡りを繰り返していても仕方ない。
どうせ外で広告主と会う約束があるんだから早目にでよう。
「外出してきます。何かあったら携帯に連絡して」
「はい」
私が逃げるように会社を出るまでの間に、庄司くんは戻ってはこなかった。