ショコラ~愛することが出来ない女~

 打ち合わせを終えて、一度会社に戻る。
直帰でもよかったけれど、逃げてるように思われるのが悔しくて。

定時は過ぎていたので、帰っている人もいたけど。
原稿をまとめ上げるのに必死こいてる人も数人いた。
その中の一人、花山田さんが顔を上げる。


「あれ、編集長おかえりなさい。森宮さんなら帰っちゃいましたよ?」

「そう。うん、いいのよ。今は急ぎの仕事ないし」


庄司くんの事、どうなったか聞きたかったけど、仕方ないか。
本人ももう帰ったようだし。


「編集長これちょっと見てもらっていいですか?」

「いいわよ」


書きかけの記事を見ながら訂正個所を指摘していく。


「紹介記事は公正に書くべきか主観を入れるべきか迷うわよね? それが文章に出ちゃってるように見えるわ。
熱意が伝わるようなら主観を交えてもいいけど、その場合は最初からそういう趣旨で書かないと」

「はあ、なるほど」


頭をカリカリ書きながら、花山田さんは私をちらりと見る。

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