ショコラ~愛することが出来ない女~
そう思ったら背筋が冷えた。
だって。
森宮ちゃんなら上手くいくのかも、って思えてしまったから。
私と似た勝気な性格で。
でも私より頼り方が上手。
隆二くんだって、好きになるかもしれない。
森宮ちゃんはかわいいもの。
「は、はは」
何をずっと自惚れていたんだろう。
私が違う人に恋をするなら、隆二くんだってしたっておかしくない。
なのに、隆二くんはずっと待ってるかもって思ってた。
自分は誰かにすがって楽になろうとしていたくせに、なんて図々しい。
それに気付いて、恥ずかしさで泣けてきそう。
重たくなった足を、引きずるように駅へと向かわせる。
バカ。
私のバカ。
苦しくて辛いときに会いたくなるのは、やっぱりまだ一番に彼を頼りにしているからで。
他の恋をしてても、彼から抜け出せない自分自身にも嫌気がさす。
ぐるぐる回る頭を、無理矢理に落ち着かせようとする。
何度も溜息を吐き出しながら家の近くまで来ると、明かりが私を出迎える。