ショコラ~愛することが出来ない女~

厨房内のありとあらゆる視線が、私に注がれた。

その中で、手前の方に居たのが隆二くん。

見た瞬間にビビビと来て、顔がカーッと熱くなってくる。

アドレナリン分泌されまくりみたいな状況。
こんなの初めての経験だ。


「あ、桂木さん、困ります。今連れて行きますから」


オーナーさんがそう言って、遮るように私の前に立った。

その脇から盗み見するように見ていると、隆二くんは視線を手元に戻し、黙々と雑用をこなしていく。

その長い指がとてもキレイ。
眼差しは真剣で厳しい。

目が離せない。


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