ショコラ~愛することが出来ない女~
「康子さんに、いつか言おうと思ってた。そして……」
そして、何?
心臓が高鳴ってくる。
この反応にまた幻滅しそう。
だって、庄司くんにプロポーズされたときより、ずっと期待している自分がいる。
言葉を詰まらす隆二くんに、私の腰が浮く。
立ち上がって何を言う気なの私。
「いや、なんでもない。
康子さんが幸せになるのが一番だ。
……おめでとう」
「ありが……とう」
おめでとうの言葉が痛い。
浮き上がった腰をそのまま座席には戻せなかった。
立ち上がって、財布を出す。
「支払いならいいよ。お祝い」
「ううん、払う」
「これくらい格好つけさせてよ」
千円札をおいた私の手を、彼の手が押さえる。
駄目だ。爆発しそう。
彼からつたう温かさが、欲望を喉元まで掻き立てる。