ショコラ~愛することが出来ない女~

「今度会ってね」

「う、うん」


私のお願いに、詩子は素直にうなずく。
母親の再婚に対しての抵抗は、見たところそれほど無さそうだ。


「父さんには言ったの?」


聞かれたくないところを突っ込まれる。まあ、親子である以上そこは避けては通れないのだけど。


「昨日言った」

「なんて言ってた?」

「おめでとうって言ってくれたわよ? 幸せになって欲しいって。……まあ、強がりなのは見て分かったけど」

「だよね。想像つく。
涙目だよね、絶対」

「そうそう!」


背中を丸めた隆二くんを想像して、2人で声を合わせて笑う。
だけど、同時に泣きたくもなってきた。
詩子に涙なんて見せたくないからと、精一杯に堪えたらため息がでた。


「……隆二くん、変わらないよね」

「そう?」

「私ね。隆二くんのこと、すごく好きだったけど。一つだけ気に入らないところがあった。
完璧が過ぎるって言うか、人を育てるのが下手って言うか。
詩子のフラッペだってそうよ。
アイディアを採用したんなら、責任もって詩子に作らせればよかったと思う」

「だから、あたしじゃお店に出すには盛り付けが下手で……」

「そのあたりも含めて、受け止めてくれる度量が欲しかった訳、私としては」

「母さん」

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