ショコラ~愛することが出来ない女~


「おや……父さんは母さんの事今でも好きそうだけど」

「そうね。でも一番じゃない。彼の一番は『ショコラ』よ。
あの時にそれが分かった。
私は欲張りだから、自分を一番に想ってもらえないと嫌なのよ」

「じゃあ、今度結婚する人は母さんのことが一番なの?」


これには一瞬息が止まった。
女の子というものは、どうしてこんなに鋭いところをついてくるのか。


「……今のところはね」


今のところ、庄司くんはまるで忠犬かと思うほど私を立ててくれている。

だけどそれが変わったら?

年月は色んなものを変化させてしまう。
私と隆二くんを変えたように。

そのときに私は、2番目の恋を選んだことをどう思うのだろう。
< 180 / 292 >

この作品をシェア

pagetop