ショコラ~愛することが出来ない女~
「聞けば聞くほど、隆二くんに似てるわね」
「ホントだ。ショック」
こだわりばかりが強くて。
でも大丈夫、詩子ならきっとどんな人とでも分かち合っていける。
「詩子は私に似てるけど、……でも、違うから。上手く行くと思うよ?」
「そうかな」
「そうよ。自信持ちなさい?」
私の助言めいたものに、嬉しそうに頷く詩子に、私は多分一生追いつけない。
あなたの方が、きっと幸せになるのは上手よ。
そう言えないのは、いまだ我を張って自分の中に居座る母親のプライドのせいだろう。
駅で詩子と別れて、その姿が見えなくなった途端、体中の力が抜けていくような気がして。
近くの電信柱に寄りかかり、息を吐いたらもう止まらなくなった。
「……っつ、えっ」
好きなようにやってきたつもりだった。
自分の意思で何もかも選んできたんだと思ってた。
だけど結局私は、自分がどうしたかったのかも分かってなかったのかもしれない。
目先の感情を優先して、先のことも考えず楽な道を選んでしまったのかもしれない。
残ったのは、誰も居ないところでしか泣けない自分。
こんなものを、求めていたはずじゃなかったのに。