ショコラ~愛することが出来ない女~

 そのままベッドに横たわった庄司くんは、私の髪をなでながら何度もあくびをかみ殺した。


「疲れてるんでしょ、ホントは」


一泊で山登りしてきたんだもの。絶対疲れてるはずだ。


「まあね。でも会いたかったから」

「私に?」

「他に誰がいるの」

「ふふ。そうね」


パジャマを着込んで彼の隣に横になる。寝冷えは禁物。若い頃と違って体調管理は怠らない。


「両親には軽く話してあるんだけど。……うんちょっと」

「反対でもされた?」

「……まあね、離婚したのが1月だから。まだ半年しか経たないのにって。まあ言われてみればそうなんだけどさ」

「困ったわね」


人事みたいに言ってみる。

彼の両親が反対する理由はそれだけじゃないだろう。きっと私の年齢のことも含まれているはずだ。
再婚相手が15歳も年上なんて、私が親だとしたら納得できないもの。

それを私に言わないのは、庄司くんの優しさなのかしら。

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