ショコラ~愛することが出来ない女~
「ごめん。康子さんのほうはいい返事もらってきてくれたのに」
「そんなのあなたが謝ることじゃないでしょ。なるようになるわよ。とりあえず寝たら? 疲れ取らなきゃいい考えも浮かばないわよ」
「そうだな。なあ、康子さん」
「何?」
「もし反対されても、俺と結婚してくれる?」
ふと感じる違和感。何だろう。
でもまなざしに答えを急かされてる気がして、ゆっくり考えられない。
「……つくづく反対される女だわ、私って」
「え?」
「前の時も反対されたのよ。まあ、あの時はデキ婚だったから押し切ったけどね」
だから、本当は今度こそ皆に祝福されてみたかったけど、それは叶わなさそうだ。
まあでも、反対されるのは庄司くんのせいじゃない。私だ。
気が強くて仕事もバリバリして。私から家庭というものを連想する人はあまり居ないだろう。
恋人としてはいい条件でも、結婚相手としてはきっと最悪だ。
ふと寝息が聞こえてくる。
限界を迎えつつあったのか、庄司くんはもう寝ていた。
「早すぎでしょ、もう。……お疲れ様」
彼の隣に横になって、目を閉じる。
妙に自分に自信がなくなってきていて、なんだか寝付かれなかった。