ショコラ~愛することが出来ない女~

テレビを相手に食事を続ける。

そしてふと、彼も帰ったら一人でご飯を食べるんだなって思った。

そうよ。なぜ気づかなかった。
たまには私が彼に料理を作ってあげればいいんじゃない。

うちの方が広いから、といつもうちに来てくれてたけど、たまには私が押しかけていけばいいんだわ。

思いついて、早速野菜炒めをタッパに入れる。
明日の分もと思って多めに炊いたご飯を全部おにぎりにして、更に冷凍食品のおかずをいくつかレンジにかける。

私がつくったの、と胸を張るにはちょっと情けないお弁当だけど。
疲れて帰ってきたときにはそれでも嬉しいんじゃないかしら。

庄司くんのアパートは何度か行ったことがある。
今まで一度も使ったことはないけれど、合鍵ももらってる。

思い立ったら行動するのが私。
部屋着から動きやすいジーンズに着替えて出発だ。


 いつもと違う行動をしているからか、妙に気分が上がっていた。

こんな風に、新しい恋を楽しむべきなんだ。
自分から手を切ったはずの過去の男をいつまでも思い返すより。
結婚を考えてブルーになるより。

そうよ。
そんなにすぐ結婚なんてしなくてもいいかもしれない。
どうせ子供が出来る年じゃないんだし。

庄司くんだって、ご両親ともめてまで結婚を強行するのは大変だろう。

しばらくこのまま恋人関係を続けていれば、あちらのご両親だっていつか理解してくれるだろうし。

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