ショコラ~愛することが出来ない女~
「何?」
「いや、ご飯、食べてないかなって思って」
「康子さんが?」
なによ、その意外そうな顔は。
「そっか。……いや、嬉しいよ。ありがとう、康子さん。ちょっと入って?」
「う。うん」
入って……いいのかな。
だって、子供がいるんでしょ?
だけど、庄司くんが中に入っていってしまったので、私も後を追うことにした。
ワンルームの8畳の部屋。
奥さんと別れてから住み始めたって言ってた。
「舞、お客さんだからおりこうにしててな」
「はあい。いらっしゃいませー」
ませた口調で話す舞ちゃんは、よく見ると頬や肩に痣が出来てる。
「あの……」
「今日、前妻から預かってきたんだ。ちょっと、もめててさ。明日からは両親に頼むから」
「この子怪我してるじゃない」
「妻がね。……俺と別れてから、酒浸りになってたらしくて。おとといかな、酩酊して舞を殴ったらしい。もちろん今は反省してるんだけど、ちょっと一緒に置いとくには危ないってことで預かったんだ」
「ええっ」
内容も凄いけど、それをこの子の前で言っちゃうことにも驚きだ。