ショコラ~愛することが出来ない女~


「何?」

「いや、ご飯、食べてないかなって思って」

「康子さんが?」


なによ、その意外そうな顔は。


「そっか。……いや、嬉しいよ。ありがとう、康子さん。ちょっと入って?」

「う。うん」


入って……いいのかな。
だって、子供がいるんでしょ?

だけど、庄司くんが中に入っていってしまったので、私も後を追うことにした。

ワンルームの8畳の部屋。
奥さんと別れてから住み始めたって言ってた。


「舞、お客さんだからおりこうにしててな」

「はあい。いらっしゃいませー」


ませた口調で話す舞ちゃんは、よく見ると頬や肩に痣が出来てる。


「あの……」

「今日、前妻から預かってきたんだ。ちょっと、もめててさ。明日からは両親に頼むから」

「この子怪我してるじゃない」

「妻がね。……俺と別れてから、酒浸りになってたらしくて。おとといかな、酩酊して舞を殴ったらしい。もちろん今は反省してるんだけど、ちょっと一緒に置いとくには危ないってことで預かったんだ」

「ええっ」


内容も凄いけど、それをこの子の前で言っちゃうことにも驚きだ。

< 197 / 292 >

この作品をシェア

pagetop