ショコラ~愛することが出来ない女~


 そして週末、久しぶりに私の家で会うことになった。
入ってきた庄司くんは挨拶もそこそこに私を抱きしめる。


「康子さん、久しぶり」

「ちょ、離してよ、庄司くん」

「イヤだ」


子供みたいに首を振って強引にソファまで引っ張られたかと思うと、そこに押し倒される。

そして唇をなぞるようなキス。次は舌先が唇を割って入ってくる深いキス。
久しぶりの抱擁に一瞬流されそうになる。


「ちょっと、まだ昼間よ」

「何が駄目? 誰も見てないよ」

「欲求不満解消に抱かれるんならイヤよ」

「……」


痛いところをついてしまったのか、彼の動きが止まる。


「ごめん」


何故か先に謝ってしまう私。庄司くんは苦笑して私の上から降りた。


「この間のこと、怒ってる?」

「いいえ。でも、何も聞いてなかったから驚いたわ」

「俺も最近知ったんだよ。前妻は俺と別れてから仕事も始めたって聞いてたし、きちんとやってるとばかり思ってた。なのに……」


庄司くんは視線を私からそらす。珍しい仕草だ。少し後ろめたいところがあるのだろう。

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