ショコラ~愛することが出来ない女~


「あなたは今、私のYesマンになってる」

「え……」


時が止まったかのように、庄司くんは硬直して瞬き一つしない。


「そんな関係いつか破綻する。分かってるんでしょう。奥様とがそうだったんじゃない。
恋愛ではよくても、結婚なら上手く行かない。
私はずっと、それを見ないようにしてただけだわ」


「康子さん」

「私はあなたを、食いつぶしてしまう」


溢れた涙はただただ下に向かって落ちていく。
庄司くんと私、どうすることも出来ずにただ立ち尽くしている。


「康子さん、待ってよ。急に舞の話が出たことで混乱させることは謝るよ。
でも、俺は真剣に康子さんとの結婚を考えてる。愛してるんだ」

「どこが? 私のどこに子供を捨てさせるほどの要素がある? 
男と女は巷にいくらでもいるわ。でも、子供にとっての両親は一組だけよ。
あなたに手を離されたらあの子がどうなるか、考えが及ばない人じゃないでしょう?
あなたが今、それが見えなくなってるのは私のせいよ」

「康子さん」


どうして? とばかりに目が語ってくる。
娘と和やかに食事をして、私だってこんな展開を迎えるなんて思わなかった。

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