ショコラ~愛することが出来ない女~
「っく、えっ、ええん」
出来るだけ声を落としてみるも、嗚咽は止まらなくて。
誰かに縋り付きたいと思ってしまって、それではいけないと首を振る。
いつまでも甘えていてどうする。
ちゃんとしなくちゃ。
……庄司くんとは別れよう。
ようやく心が決まる。
愛情がなくなった訳じゃない。
今でも私は彼のことを好きだ。だけど、一番にじゃない。
一番じゃないなら、他の人を傷つけてまでは押し通せない。
ぼろぼろと落ちていく涙をそのままにして私は歩き続けた。
また一人になることが寂しい。
だけど、これが私にはお似合いなのだろう。
結婚って、愛することが出来ない女がすることじゃないのよ、きっと。