ショコラ~愛することが出来ない女~
「さよなら、康子さん」
「さよなら、庄司くん」
綺麗な別れの言葉を互いに呟いて、私は背中を向けた彼を見ていた。
……確かに癒されていたのよ。
年齢差を物ともせず、まっすぐに向けられた愛情に。
一生懸命、同じ目線にたとうとしてくれたあなたに。
一緒に行きていこうと思うくらいには好きだった。
やがてバタンと音を立てて玄関ドアが閉まる。
それをきっかけに涙を堪えるのをやめた。
一つの恋が終わったんだ。
涙を流すくらいはきっと許されるだろう。