ショコラ~愛することが出来ない女~
そして一時間後、大体の概要を聞いた森宮ちゃんは「うわあ」と歓声をあげる。
「ドラマみたいな展開ですね」
「まあね。私もさすがにこれは予想してなかった」
「庄司くんももっとちゃんと奥さんと話し合ってから別れれば良かったのに」
森宮ちゃんは唇を尖らせて箸をお皿に向ける。
その仕草はかなり可愛い。
真似してみたいけど、私の歳でやったら周りはドン引きかもね。
「まあね。でもその強引さが彼のいいところでもあるでしょう。実際、私が彼に好感をもったのはそういうところだわ」
「そうか。そう……ですよね」
「なによ」
「康子さん、辛いですよね」
「……いいえ。結局は私が彼を振り回したようなもんだし。私って結婚に向かないのよ。それが分かって良かったかも知れないわ」
「そうかなぁ」
「そうよ」
自分に納得させるようにそのままグラスを煽る。
アルコールのせいで少しだけ浮ついた気分だ。