ショコラ~愛することが出来ない女~
「……そういえば、『ショコラ』って康子さんの元旦那さんの店ですか?」
「ぶっ」
いきなりの話題転換に、ほろ酔い気分もぶっ飛んだ。
「うわ、大変」
私が吹きこぼした液体を、森宮ちゃんが慌てて拭いてくれる。
その間に、私はなんとか冷静さと取り戻そうと咳払いをする。
「ご、ごめんね。森宮ちゃん」
「いえ、大丈夫ですか? 変なとこに入っちゃいました?」
「ゴホン。そんな感じ」
これで話は誤魔化せたか?
「飲み直しましょうよ。同じのでいいですか?」
森宮ちゃんがカクテルを頼んでくれて、一段落。
って思っていたら、あっさりと話は元に戻された。
「私、実は今年に入ってからあの店に通ってて。いつも夜にしか行かなかったからわからなかったんですけど。
お盆休みの昼間に行ったら、康子さんそっくりのウェイトレスさんが居たんですよねー!!」
「げ」
詩子を見たのね?
それじゃあ誤魔化せない。誰が見ても疑いようがないほど私と詩子は似ているもの。