ショコラ~愛することが出来ない女~
「それは娘よ。ほら、前に誕生日プレゼント選んでもらったことあるでしょう。あの子が詩子」
「うん。すっごい美人さんで。詩子ちゃんに表紙モデル頼みたいくらい」
「頼んだってすげなく返されるわよ。あの子物事ははっきり言うわよ?」
「えーそうなんですか? 意外。楚々としたお嬢さんって感じなのに。
で、隆二さんが元旦那さんってことなんですよね」
「そ、そうよ」
名前で呼んだ。
そのことに胸の奥がざわざわする。
もうはっきり聞いちゃったほうがすっきりするわ。
森宮ちゃんの彼氏が隆二くんだって言うなら、私は応援する。
そうよ、私だって森宮ちゃんのことは好きだし。
隆二くんだって、私なんかに振りまわされているより、よっぽど幸せになれるはずよ。
「あの、森宮ちゃ……」
「実は私の彼氏って」
「……っ」
やっぱり嫌。
聞きたくない。
思わず目をつぶってしまう。
「隆二さんとお友達なんですよー」
「……え?」
あまりにも予想していたのと違う言葉に、一瞬何が何だか分からなくなった。