ショコラ~愛することが出来ない女~


「……そうね」

「やっぱり?」

「うん。そう。……多分まだ好きなのよね。だけど、一緒にいるのも怖い。隆二くんはそんな相手。
離れていたほうが嫌われなく済むもの。このままでいいのよ」

「でも、庄司くんとも別れちゃったんだし。隆二さんホントに女っ気ないですよ。もしかしたらあっちも待ってるんじゃないんですか」

「そこまで自惚れてはいないわよ。それに女がいなくても、あの人は私よりケーキが大事。
そこが変わらない以上、うまくはいかないわ」

「そうかなぁ」

「私が変われればいいのかもしれないけどね。……私は無理。欲深なのよ。とことん愛されないと我慢できないの」

「……だから、庄司くんだったんですか?」

「かもね。私もよくわからないわ。まっすぐに向かってきてくれてとても嬉しかったし。彼は魅力的な男性だった。ただ、今は時期が悪かっただけ。……そういうもんよ」

「はあ。そうですかねぇ」

「さ、今日は飲むわよ」

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