ショコラ~愛することが出来ない女~
追加のカクテルを頼んで、勢い良く飲みまくる。
果たして何杯目だったか分からなくなってきた頃、森宮ちゃんの目がトロリとしてくる。
さすがに泥酔されてからじゃ送っていくのが大変だし、受け答えがマトモなうちに切り上げようか。
「さぁ、帰るわよ。森宮ちゃん」
「えーまだいいじゃないですかー」
「まっすぐ歩けるなら言うこときいてあげる。ほら立って」
支払のために歩くだけでもフラフラで、店の出口まで行くとすっかり大人しくなっている。
赤い頬に恨みがましいような表情を浮かべて私を見た。
「康子さんと飲むと飲みすぎちゃう」
「あら、私のせい?」
「だって私、他の人と行くと世話役になっちゃいますもん。こんなに気を抜けれる人は限られてます」
そうなのか?
最初から泥酔姿だったから、常に酔いつぶれる子なのかと思ってた。
まあでも、そう言われれば悪い気はしないけど。
「さ、タクシーで家の前まで送っていくわよ」
「や、大丈夫です。今日はちゃんと意識あるし。康子さんち、ここからだと逆方向でしょ?」
「でも、心配だわ」
森宮ちゃんが、私を見てにこりと笑う。目がウサギちゃんみたいに赤い。