ショコラ~愛することが出来ない女~
16 あなたの本音
そうして、8月も終盤に差し掛かる。
今年は真夏日が多すぎる。今日なんて最高気温が35度だ。
人を殺す気かって感じよ。
ヘトヘトになって家まで帰る。玄関ドアを開ければ、ムッとした空気がお出迎え。
冗談じゃないわ。なんか癒しでもなきゃやってらんない。
「あーもう、ベタベタする」
とりあえず部屋着に着替えて顔を洗う。メイクの上に汗がのった感じで気持ち悪い。
洗い流すと少しだけさっぱりした。
「アイスでもなかったかしら」
高級なのが食べたい。舌先でとろけるような濃厚なやつ。
ああ、メイク落とす前にコンビニ行けばよかったかしら。
冷凍庫を覗いても安いアイスしか入ってない。
仕方ない。これで我慢するか。
ため息とともに手を伸ばした時、玄関のベルがなった。
こんな時間に誰?
時計を見て眉を寄せる。もうすぐ夜の10時だ。
勧誘とかはあり得ないな。
もう庄司くんだってこないだろうし。一体誰?
恐る恐る玄関扉を開く。
何かあったらすぐ閉めれるように構えて。
まず男の人の足が見えた。
上に辿って行くと太い腕、がっちりした肩、少しひげの伸びた顎が見える。
懐かしすぎるその顔は。