ショコラ~愛することが出来ない女~
「ずっと使えるこだわりのモノを特集するってどうですかね。例えば腕時計、例えば文具。仕事をしてる女性だからこそ拘りたい一品という感じのもの」
「なるほど。いいわね」
「企画書作ってみてもいいですか?」
「ええ。面白く盛り立ててちょうだい」
ご機嫌でデスクへ戻っていく森宮ちゃん。
その背中を見ながら、頼もしく思う反面寂しさが募る。
確実に成長してる。
そろそろ森宮ちゃんに任せたとしても問題無いだろう。
むしろ、私より斬新な企画を考えつくかもしれない。
じわりと忍び寄るのは焦り。
世代交代なんて考えたくないけど、成長力で言えばあっちが上だ。
「でもまだ負けないわよ」
ディスプレイに向かって笑ってみせるも、どこか負け惜しみじみてることが悔しい。
自分の価値を認識するにはどうすればいい?
一人でそれを維持するのはとても難しい。