ショコラ~愛することが出来ない女~


だけどそれじゃあ、幸せにはなれない。
だから今もこんな風に独りで、こんな風に苦しいんだ。

彼を本気で失いたくないなら、本気で幸せになりたいなら。
守るものはそこじゃなかったのに。


どの面下げて偉そうに話してるんだろう、私。
自分だって一緒じゃない。
肝心なときには怖がって逃げてる。


「……とにかく。私は庄司くんとはきちんとお別れしたの。あなた達が別れてもヨリを戻しても関係ないわ」

「桂木さん」

「話は終わりにしましょう? ごめんなさいね。失礼なことたくさん言って」

「いえ。……分かりました」


彼女は空気が抜けてしまったかのように、肩の力を抜いて椅子に沈み込む。
私は、伝票を持って立ち上がった。

彼女を見ているのは苦しい。
自分の見たくない部分を凝縮したみたいな人。

だけど、ここから目をそらしていたら、多分一生このままだ。

会計を済ませ、もう一度離れた地点から彼女を見つめる。

今の自分を押し通せば、私も彼女と同じになる。
どこか満たされない思いを抱え続けて、いつか空気が抜けてしまう。


変わりたい。


本気でそう思った。
どうすれば変われるのか。
そんなの分からないけれど、変わりたかった。


隆二くんとの約束は12月。
それまでに、私は変わることができる?

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