ショコラ~愛することが出来ない女~
18 私の居場所
森宮ちゃんが作った企画書はなかなかのモノだった。
「いいわね。うん。これいけると思うわ。連載企画にしましょうよ」
「本当ですか?」
「ええ。協賛してくれる企業をピックアップしてみましょう? 良い宣伝にもなると思うわ」
「はい!」
嬉しそうにデスクに戻っていく森宮ちゃんをみつつ、構成を考える。
『デキるOLのこだわりの一品』
そんなタイトルで、毎回取り扱うものを変えていけばいい。
第一回は腕時計。第二回はカバン。
あと、OLとして拘りたいものといえば……手帳とか、ああペンも大事ね。
書き味の良いペンを探して文房具店をさまようことって結構あるもの。
読み手もそれなりの興味を持ちそうな題材だし、製品をじっくり特集できるのでスポンサーもつきやすい。
いい企画だ、と思う。
「あ、森宮ちゃん」
「はい」
PCのディスプレイの向こう側から森宮ちゃんが顔を見せる。
「Webの。……前変な書き込みあったじゃない。アレってどうなった?」
「ああ。一時期からピタリと無くなりましたね。やっぱりただのいたずらだったんじゃないですか?」
「そう。ならいいわ」
あの犯人が亜衣さんであったかどうかはわからない。
ただ、もしそうであったとして、本人が先日のことを恨んでいるなら何かしらアクションがあるかと思ったのだけど。
無いならそれに越したことはない。
人の面倒見てるほど、自分に余裕があるわけじゃ無いもの。