ショコラ~愛することが出来ない女~
「その改装が終わるのはいつ?」
「二月半ばくらい。宗司の塾開校は更に一ヶ月くらいかかるんじゃないかな」
「ふうん」
ちょっと面白くない。
詩子め。どうして教えてくれないのよ。
「康子さん?」
「ヨリを戻したこと、詩子には内緒にしてて。そうね、詩子の誕生日まで」
子供みたいな対抗心でそう言うと、隆二くんはほーっと息を吐き出す。
「ヨリを戻してはくれるんだ」
「その気もないのにキスなんかしないわよ」
「はは。じゃあその先は?」
「先って?」
心臓がどきりとする。
二階は使えないんでしょ? 何処かに移動しようってこと?
それならうちしかないけど。
「入籍」
「……あっ、そっちね」
「何を想像してたのさ」
恥ずかしくて顔が赤くなってくる。
隆二くんは嬉しそうに私の耳元に息を吹きかけてくる。