ショコラ~愛することが出来ない女~
「じゃあ片付けるよ」
「待って。全部食べてから」
残ったケーキを二人で一緒に食べ、片付けの為に厨房に入る。
最後に来たのはいつだったかしら。なんだかとても久しぶりの気分だ。
隆二くんがお皿を洗い出したので、私は隣でそれを拭く。
最後の皿をおいたら、後ろから抱きしめられた。
「もういい?」
「ちょ、でもここじゃ」
隆二くんの大事な仕事場。
ここで変なことする訳に行かないじゃない。
「じゃあ二階」
「使えないんじゃなかったの?」
「いや? 汚いし、一部天井とか壁とかはがれてるけど、一応布団はまだ置いてある」
「どうして」
「ここ数日俺が泊まりこんでたから」
ケーキ作りの為に?
それは自惚れのようで聞けなかったけど、抵抗する気分はすっかり薄れてしまった。
「隆二くん」
「俺はもう待てない」
「あの……んっ」
深いキスに言葉を絡めとられる。
服の上から体をなぞる手は、ゆっくりながらも繊細で。
敢えて胸の頂きを避けて触れるその行動も以前と変わらない。
徐々に壁際に追いやられ、膝の裏に腕を入れられ横抱きに抱かれる。