ショコラ~愛することが出来ない女~
「ちょ」
「上行こう」
「腰が痛くなるわよ」
「今日ぐらいは格好付けさせてよ」
そのまま軽快に階段をのぼる彼。
部屋にはいると埃っぽい空気がお出迎え。
昨日泊まり込んでいた証拠のように、敷きっぱなしの布団が乱雑におかれていた。
「ちゃんと寝てるの?」
「それなりには。でも本当は人肌があったほうがいい」
「隆二くん」
「康子さんが欲しかった」
ゆっくり布団の上に落とされて、頬を、顎を、撫でられる。
「ん……」
ゆっくりと体をなぞっていく舌の動き。
体の奥底から沸き上がってくる渇望。
隆二くんが好きだ。
全部自分のものにしたい。
この指先も、体も、髪の毛一本さえも。
誰にも渡したくない。