ショコラ~愛することが出来ない女~


それは、上手な愛し方では無いと思ってた。

強欲すぎる愛は、いつかあなたを追い詰める。
私はあなたにいつまでも愛されたかった。

だから逃げてみたけれど。
それば間違いだったのだろう。

私にはこの愛し方しか出来ない。
だからこのやり方で繋ぎ止めるのが正しいんだ。



「……っはあ、ん。あん」


乱れる息も、あえぐ声も、我慢したりしない。
感情の赴くままにあなたを求めれば、あなたもあなたのやり方で愛してくれる。

ゆっくりと触れるか触れないかの距離で体をなぞり、血脈にそって舌を這わせる。

そして私が焦れて焦れてたまらなくなる頃、開放させるように望むところに触れてくれる。


私がどうすれば熟してくるのか、旨味が引き立つのか。
一番良く知ってるのはあなただ。




「……んっ、隆二くん」



何よりも美味しく調理して。
誰よりも美味しく食べて。

甘い夜を記憶に刻みこませる。
もう二度と、あなたが私なしでは夜を越せなくなるほど。



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