ショコラ~愛することが出来ない女~
19 ラストシーン
「よし、出来た」
「お疲れ様です」
来月号の『デキるOLのこだわりの一品』の原稿をメールで森宮ちゃんに送る。
「確認よろしく」
「康子さんの原稿なら大丈夫でしょう?」
「いやいや、若い目線からの意見が欲しいわ」
あれから、『EAST WEST』でこの企画を立ち上げ、記事担当の一人として私が入った。
「でも康子さんが記事を書きたいって言うと思いませんでした。忙しいでしょう、編集長の仕事にプラスしてやろうと思ったら」
「そうでもないわ。私には有能な右腕がいるから」
「右腕?」
「あなたのことよ、森宮ちゃん」
クスリと笑うと、頬を赤くする。
ふふ、おかしい。
でも本当だ。森宮ちゃんが私の仕事の三分の一を引き受けてくれてるからできることだもの。
本来、私は記事を書くよりも全体を統括しなければならないのだけど。
どうしてもこの仕事がしたかった。