ショコラ~愛することが出来ない女~

今日は詩子の誕生日だ。

用意しておいた誕生日プレゼントを確認して、早々に会社を出る。

詩子の彼氏とやらも初めて見る。

あの後、彼氏が出来たっていう話だけは本人から聞かせてもらったけど、相手のことはけちょんけちょんに言うからイマイチキャラが掴めない。
でも、あの詩子がなんだかんだとゾッコンなんだから、いい子なんだろうとは思うけど。


「さて。そろそろ返信してあげようかな」


携帯電話のメールボックスには、朝から三通ほど隆二くんからのメールを受信している。

 昨晩、彼は詩子のためのバースデーケーキを作っていて。
日付が変わるころ私の家に来た。

そしてケーキの出来栄えを嬉しそうに延々と話して眠りにつき、店に戻っていったのが朝の五時。

そして七時半。
一つ目のメールを受信。


【家に一度戻ったら詩子が居ない】


通勤中だったってのもあるけど、返信したらうざく泣きつかれそうな気がしたからやめた。

どうせ、彼氏の家に泊まったに決まってる。
誕生日だもん、むしろそれが健全ってもんだ。

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