ショコラ~愛することが出来ない女~

二つ目のメールを受信したのは10時。


【詩子が出勤したらどういう態度をとればいいだろう】


どれだけ悩んだって隆二くんは直球で聞くだろう。
むしろ相談時間が無駄?

と思ってこれも返信せず。


最後のメールが14時。


【早く会いたい。俺もラブラブしたい】


ようやくこっちを向いた。
そう思ったら嬉しくって、デスクで笑ってしまって皆に不審がられた。


【今から行くわ。待ってて】


そんなメールとともに会社を出る。
目指すは『ショコラ』。
彼のすべてが詰まった場所。


途中で、会社へ戻る庄司くんと出会う。


「あ、康子さん。お疲れ様です」

「庄司くん。お疲れ。この間の高雄山の記事良かったわよ」

「読んでくれたんですか」

「ええ。やっぱりあなたは山が好きなのね」

「はい。週末は舞を初めて登山に連れて行くんです」

「楽しんできて」


手を振って別れる。

年明けくらいから、庄司くんとはいい同僚関係に戻った。

どんな心境の変化があったかは知らない。
だけど、彼自身が吹っ切れたような様子が見える。
亜衣さんとも、多分いい方向に向かってるんだろう。

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