ショコラ~愛することが出来ない女~
「頼りにしてるんだよ、桂木」
「うーん」
そう言われてもな。
若い子の好みそうなもの。
詩子もちょっと一般の女の子とずれてるしなぁ。
あんまり参考になりそうな人物が周りにいない。
まあでも仕事だものね。
「……分かりました。頑張ります。
Webに強い人をチームにいれてください。スマホのアプリとかそのあたりが得意な人。
あと若い年代の女の子も。それで販売方針とか方向性を固めてみます」
「いい返事だ。さすが桂木」
「お褒め頂き光栄です」
恭しくお辞儀をすると、にやりと笑われる。
「期待してるよ。元祖お騒がせ娘」
「もう娘って年じゃないです」
「俺にとっては今でも手のかかる娘みたいなもんだよ。お前にはびっくりさせられるばかりだ。
突然の妊娠・結婚。熱愛かと思いきゃ突然の離婚。その後どうだよ、恋愛方面」
「あー」
耳が痛い。
社長は、結婚当時の担当雑誌の編集長で、入社当初から面倒を見てくれた恩人だ。