ショコラ~愛することが出来ない女~

 やがて鍋は空になり、2時間も経過すると居づらくなるので場所を変える。
幸いすぐ近くにバーがあり、そこで飲み直しすることにした。

すでに酔い潰れかかっている森宮ちゃんは、カクテルをちびちびと飲みながら、半分寝かかっている。

ずっと聞き役に徹していた庄司くんは、ようやく少しずつ語り始めた。


「皆色々あるんですね」

「そうね。恋愛なんていくつになっても難しいわよね」

「そうですね。結婚するときは離婚するなんて考えなかったもんなぁ」

「……そうね」


結婚するときは、それがゴールだと思ってた。

『それから二人は幸せに、とても幸せに暮らしました』

そんな一言で終わるのは、物語の中だけ。

実際結婚した後は色々問題だらけだ。

自分たちだけで勝手には出来なくなる。
双方の親、子供、保護者間のしがらみ、あげ出したらキリがない。

世の中の円満夫婦は、どうやってそういうものを切りぬけていくんだろう。

< 87 / 292 >

この作品をシェア

pagetop