ショコラ~愛することが出来ない女~
やがて鍋は空になり、2時間も経過すると居づらくなるので場所を変える。
幸いすぐ近くにバーがあり、そこで飲み直しすることにした。
すでに酔い潰れかかっている森宮ちゃんは、カクテルをちびちびと飲みながら、半分寝かかっている。
ずっと聞き役に徹していた庄司くんは、ようやく少しずつ語り始めた。
「皆色々あるんですね」
「そうね。恋愛なんていくつになっても難しいわよね」
「そうですね。結婚するときは離婚するなんて考えなかったもんなぁ」
「……そうね」
結婚するときは、それがゴールだと思ってた。
『それから二人は幸せに、とても幸せに暮らしました』
そんな一言で終わるのは、物語の中だけ。
実際結婚した後は色々問題だらけだ。
自分たちだけで勝手には出来なくなる。
双方の親、子供、保護者間のしがらみ、あげ出したらキリがない。
世の中の円満夫婦は、どうやってそういうものを切りぬけていくんだろう。